2020年5月15日金曜日

No.3 1/100 リガード(マクロス) 其の6

【膝関節部01】
このキット一番の問題点となる膝関節です。
リガードのデザインは大きな頭部(胴体)と、鳥のような細長くて華奢な脚部が特徴的ですが、設定画の膝関節では接続部ごとに大きく伸びる多関節構造でないと屈曲することが出来ないようです。

また脚の構造上、上体の全重量を華奢な膝関節で支えなければならず、強い保持力を併せ持たせる必要があります。アニメーションの画面上ではゼントラン驚異のオーバーテクノロジーで済ませるところですが、この構造を1/100スケール模型の小さくて限られた部品点数で再現するのはかなり無理が有りますので妥協点を探る必要があります。
金型改修前の初期キットではアリイ製1/72のリガードと同じような幅の狭い膝関節だったので、デザインと可動領域を概ね両立していた反面、保持力が犠牲となり、上体の重さで自然と膝が曲がってました。少年の頃、リガードのプラモデルがまともに立った記憶が無かったのはこの膝のせいだったのですね。


改修後のキットでは膝関節の幅を増し、スネ部分のデザインも変更したうえ、ビス留めで保持力が強化されましたが、可動領域確保のためスネ上部前面が大きく切り欠かれ、設定画とは全く形が変わってしまいました。アリイの担当者さんも苦労をされたと思いますが大型ミサイルポッド装着型などの商品展開をするにはデザインの維持よりも丈夫な膝が必要だったのでしょう。


前説が長くなってしまいましたが、今回デザインと強度を両立するため関節を固定にするか可動にするか私も相当悩みましたが、結論、二兎を追うことにして膝下に新規の関節を入れることにしました。もちろん失敗したら固定関節にする余地を残しながらですが。

すね部分のデザインを維持しながら屈曲する関節を作るには、膝関節の回転軸以外にスライドや迫り出しの機構を設ける必要があり、ここからが試行錯誤の繰り返しとなりました。
最初は回転軸を上下にスライドさせる方法を基準として、市販のボールジョイントを加工したのですが残念ながら保持力不足でした。

アクションフィギュアなどに使用されている二重関節が流用できそうなのですが、保持力がどこまで確保できるか不明なので、ここは自作で対応することにしました。
先ずは既存の材料でどの程度のものが作れるのか試作してみます。
材料は8mmプラパイプと3mmプラ棒、1.2mmプラ版
グルーボンドを充填しポリキャップの代用品として使用

ヤスリで成形し、完成
試作品№1は関節軸に㎜プラ棒、軸受けに8㎜プラパイプを使用することで十分な保持力が確保できましたが、関節部の長さが17㎜程度にしか収まりません。
そこで試作品№2はダウンサイジングするため関節軸を2㎜プラ棒、軸受け部分を5㎜プラパイプに変更したのですが、軸が細くて明らかに保持力と強度が不足し、敢え無く破損してしまいました。
そこで軸を3㎜プラ棒に戻し、軸受け部の内径を広げて滑り止め用のグルーボンドが入る隙間を確保。迫り出しのため軸位置を少しずらした試作品№3を作ってみたところ、関節部の長さが10㎜、迫り出し部を加えても13㎜の二重関節ができました。保持力や強度も問題なさそうです。
左から試作品№1、№2、№3
№2は敢え無く破損

試作品№1は少しサイズオーバー

試作品№3は実装可能なサイズに収まりました

急造品で精度が低いためこのまま実装という訳にはいきませんが、今後、試作品№3を元に出来るだけ工作精度の高いものを作る予定です。
キットに実装して十分な関節となるかは膝下部分を作ってからとなりますが・・。

今回はここまで

2020年5月12日火曜日

No.3 1/100 リガード(マクロス) 其の5

今回は脚部に入っていきます。

【大腿部01】
大腿部の関節は市販のパールジョイントに置き換えます。
設定画を見ると、大腿部の丸い部分には上下にインテーク状の穴が空いたカバーの様なものがついているようなのですが、キットでは再現されていません。
エポキシパテを盛ってそれらしく整形していきます。


腿から膝関節までの細い部分はスリットやモールドの掘り直しのみです。
膝に繋がる部分のポリキャップはキットそのままで残しておきます。



【腰部01】
キットの腰部は角張った無機質な形をしていますが、設定資料等では括れのある曲線で構成されています。

キットのパーツを元にしてエポキシパテで裏打ちしてから丸みのある形状て変更し、大腿部の取り付け軸は切除し、ボールジョイントの軸を差し込むための穴に変更しています。また設定画では股下に何やら角ばった部品が付いているようなので、プラ板で適当に作って付けておきました。
胴体との接続部も、設定画に基づき歯車様の部品を作って挟み込みます。


腰部、大腿部を付けてバランスチェック
次回はいよいよ問題の膝関節から下腿に入っていきます。
今回はここまで。